決勝!!

駒大苫小牧1−1早稲田実(延長15回引き分け)

3−5明治神宮大会で斎藤は田中に投げ負けた。春は、優勝した横浜に打たれた。斎藤は、常に王者に屈していた。春の雪辱と、秋につくった田中への借りを返すため。そして、王貞治荒木大輔偉大な先輩が成し遂げることができなかった全国制覇へ。斎藤の旅がはじまった。
勝戦は、今大会を象徴する10点勝負が忘れ去られるような、0−0の投手戦。しかし、斎藤に王者の牙が向く。2番三木の先制本塁打。8回表終了1−0。あと、2回抑えれば前人未到の三連覇。だが、斎藤の執念が打線に乗り移ったのか三番桧垣の2塁打。駒大も三連覇への重圧からか中継が乱れ、三塁へ進塁を許す。そのほころびを四番後藤が犠牲フライ。8回終了1−1。
斎藤の執念・田中のプライドが同伴した旅は果てしないものになる。駒大の決定機を冷静にスクイズを外す斎藤。ワイルドピッチを犯しても「大丈夫」と何食わぬ顔をして、同じボールで打ち取る田中。
旅のフィナーレは15回。駒大四番本間に147kmの快速球を投げ込む。直球を見せて、最後はフォークで三振。この緊迫して状況と連投の極限の披露の中で見せる大胆さと繊細さ。平成の新鉄腕といっていいだろう。田中も裏の攻撃を抑え、二人の長い旅は終わった。だが、二人の間に白黒をつけるさだめは無くなることはない。明日、再び旅は始まる。まだ、夏は終わらない。