プレーオフ第2ステージ第2戦

悲劇のエース・・・

日本ハム1−0ソフトバンク

中4日で登板した斉藤和巳パリーグ投手四冠に輝く押しも押されぬ大エースである。一方、ハムの先発はルーキーの八木智哉。八木は、ソフトバンク打線をノーヒットに抑えた実績もある今期のパリーグの新人王最右翼のサウスポーだ。
後のない、ソフトバンクはシーズン中にも経験のない中4日で斉藤を起用。肩の手術の経験があることから、シーズンではきっちりと中6日で使われてきた。斉藤がポストシーズンここまで一勝も上げていないのは、この登板感覚が短期決戦に向いていないといっても過言ではないと思う。しかし、和巳は負けられない気迫で投げ続けた。中盤以降は、ファウルで粘られるケースが増えてきた。打球も凡打が外野へ飛んでいく。いい当たりも正面をつく。おそらく、本調子の和巳ほど球が行っていないのだろう。まさに、気持ちで抑えるという状況である。
八木に対する打線は、ランナーを置いて牽制死やズレーターの殺人スライディング(あのスライディングは、草野球でも乱闘ものだ)など、気持ちが空回りしているのがはっきりとわかった。八木の前に三塁を踏めない体たらくである。和巳も三塁を踏ませていないのだから、まさに孤立無縁な状態といっていいだろう。逆に八木は、そんな状況ではなった。森本・金子に本日スタメン抜擢の稲田の攻守が再三飛び出し、いいリズムで攻撃に入れる体制を守備で作っていた。だから、八木も打線を信じていたと思う。和巳は打てないから抑えないといけないという気持ちで投げているように見えた。
フィナーレは9回裏。先頭の森本にストレートの四球を与える。完全にこの時点で和巳は一杯一杯だったのだろう。それでも、セギノールを気持ちで三振に討ち取ったのはパリーグのエースとしてのプライドだった。だが、そんな和巳も稲葉に打たれた。センター前に抜けようかという打球は、セカンドの中澤のファインプレーで打球をとめた。二塁に送球するのは野手のセオリー。しかし、中澤のそれ以上にファインプレーだったのが一塁ランナーの小笠原の全力疾走だった。二塁がセーフになった瞬間、俊足の森本を本塁でアウトにすることはできなかった。和巳は、力尽きた。その瞬間、日本ハムの優勝が決まった。歓喜に沸く札幌ドーム。その横のマウンドで精根尽き果てて立ち上がれない和巳の姿があった。和巳は本調子でなかったと思うが、本当に気持ちのこもったすばらしい投球だった。人間は、気持ちで実力以上のものを出せることを証明してくれた。
日本ハムの優勝はやはり必然だった。すばらしい守りにひたむきな走塁。パリーグのチャンピオンとして日本シリーズの活躍が楽しみだ。

さて、レギュラーシーズン1位のチームが始めてプレーオフを制したが、これはアドバンテージのおかげかもしれない。だが、オレは思う。これは、レギュラーシーズン1位が決まったときにビールかけで喜びを分かち合ったことが要因ではないかと。ホークスは、硬派な軍団のイメージがあるからか過去それを実施していない。ハムは、もう一度ビールかけをしたいというモチベーションが、よかったのではないかと思う。本当に、野球を楽しんでいるファイターズに乾杯だ。