結婚してもらえない男

その2

これはフィクションです

4年に一回開催されるワールドカップや五輪のように、恋の周期が4年に一回やってくる。4年に一度だ運命の人が現れると勝手に決め込んでいる。しかも、自分で努力せず、勝手に相手から現れると思っている。どこまでも、お気楽で融通の効かない男だ。
別に、それまでも合コンの話がないわけではないのに、かたくなに拒み続けていた。

ー春ー
人事異動などで、騒々しい春は嫌いだ。また、新しいコミュニケーションを造らないといけない。気を使うと疲れてしまう。特に、新しく配属された女性とはなるだけ、関わりたくない。というより、嫌われるのが怖いだけである。
そんな憂鬱な春。人事異動はわが勤務先ではない。労働組合に出いりする労働金庫の営業社員が人事異動となった。異動になった男は、パッとしない人で、いるのかいないのかわからなかった。だから、代わっていたことに気づいていなかったのだ。
彼の後任は、女性だった。モデルのように背が高く、シャム猫のようなキリっとした顔立ち。4年に一度の波が来た瞬間だった。

続く