準々決勝

ドイツ1−1アルゼンチン

選手交代は試合の流れを変えるために重要な戦術である。攻撃的にでるか守りに入るかのメッセージをチームに送ることが出来る。1−0とリードしたアルゼンチンは、チームの司令塔であるリケルメカンビアッソへの交代を支持した。ペケルマン監督に守りに入りたいというメッセージだったのかもしれない。ただ、オレはいやな予感だけが残った。リケルメは、明らかに「ペケルマンボーイズ」の象徴で、今日の先制点をアシストしていた。象徴を失ったチームが簡単に逃げ切れるとはにわかに信じがたかった。その読みはずばり的中し、ドイツのクローゼの同点ゴールで追いつかれてしまう。
試合は、延長に突入。両チームとも3人の交代枠を使い切り、壮絶な消耗戦となっていく。リケルメが交代したアルゼンチンに対して、ドイツは足を引きずっても交代せず(交代できずといったほうが言いか・・・)にピッチに残るバラッククリンスマンは、足を引きずってもバラックの存在感を信じて、ピッチに残していたのではないか!!
試合は、1−1のままPK戦へ。そのバラックは2人目のキッカーとして危なげなくゴールを決めた。象徴であったリケルメはPKスポットに立つことが出来ずに、アルゼンチンは敗れた。また、メッシもサビオラアイマールもベンチで敗戦を見届ける結末になった。結果論だが、チームの象徴のカリスマ性は残しておくべきだったのではなかろうか?守りに入ったように見えたのも、アルゼンチンにとってくいの残る結果になったよう感じる。サッカーとは、つくづく難しいスポーツだ。ベンチにすばらしいサブがいても使えないような状況になってしまい、終わってしまう。アルゼンチンのサポーターにとっては、後悔だけが残ってしまう試合になった。それは、ベンチに座っていたリケルメや出場しなかったポストマラドーナたちが一番感じているだろう。

イタリア3−0ウクライナ

1−0で勝つことが美学とされるイタリアのカテナチオ。それに対し、先制されたウクライナは、前半のうちから中盤を削って4トップのような形で、イタリアゴールを脅かす。その戦術に、潔さを感じた。トーナメントで先制点を失っても、指をくわえずにカードを早々に切ってきたからだ。超攻撃布陣になったウクライナはイタリアに冷や汗を何度もかかせた。GKブッフォンゴールポストで頭を打ちながらのセーブなど、後一歩のところでゴールを割らせないカテナチオにも改めてすばらしさを感じた。
1−0にこだわり負けてしまう傾向が良くあったアズーリも今回は違った。超攻撃布陣の穴である、守備の薄さをつき追加点を奪った。点数を取ったのが、今大会無得点だったセリエAの得点王トニだったのも大きい。攻撃的カテナチオとなったアズーリは結果的には快勝でベスト4へ。
ドイツ・イタリアの四強は予想通り。大会前からコンセプトとしてあげている国内組中心。ブンデスリーガーとセリエAの対決である。1−0にこだわらないアズーリが地元ドイツとどのような戦いを繰り広げるのか楽しみである。