ベスト8 ①

京都外大西9−1樟南

三原監督のマジックが冴え渡る。九州の灯だった樟南を一蹴した。
今年のマジックは、1年生投手の本田拓人。ホンダタクトという名前が冗談かと思ってしまうが、彼の実力は数ヶ月前まで中学生だったとは思えないほど。速球は140kmを超える。ロングリリーフにも、負けないスタミナ。
三原監督が、「素材は今までの中でも最高クラス」と語る。
今年の一年生は、大阪桐蔭中田翔も素晴らしいが本田も負けていない。三原マジックの集大成はこの一年生なのかもしれない。

駒大苫小牧7−6鳴門工業

7回表を終了して、1−6。だれもが、駒大の2連覇が消えたと感じた。
7回裏駒大先頭打者の岡山が二塁打を放つが、このランナーが帰っても鳴門工業にそれほどのダメージは与えない。一つずつのアウトを落ち着いて積み重ねればいいからだ。
ところが、好投の鳴門エース田中が次の打者に死球を与える。田中が、浮き足立ってきている。5点のリードがあることを忘れたかのように。
逆に、駒大はその隙につけこみ、4−6と2点差にし、なおも一死1・3塁。次打者の辻が放ったショートゴロ。だれもが、ゲッツーと信じたその瞬間。鳴門の攻守の尾崎がエラー。
信じられない瞬間。一塁に頭から飛び込んだ辻は、タイムリーを放ったかのようにガッツポーズ。5−6。ついに一点差。前年度優勝チームの底力は、相手チームのミスを呼ぶのか。
鳴門工業に、もう勢いを止めるすべはなかった。7−6駒大は、2連覇の希望をつないだ。
「奇跡です」キャプテンの林は興奮して語った。これは、奇跡ではないだろう。前年優勝したチームの自信と格。それが、相手チームに与える威圧感となって生んだ逆転劇。
奇跡というよりは、彼らの貫禄ではないだろうか。貫禄を見せたチームが2連覇へ突き進む。